ポピイとピリイとは、あるお屋敷の車庫の中で長い間一しょに暮して来た、もう中古の自動車です。二人は、それぞれ御主人と奥さまとを乗せて、ちょうど、御主人夫婦と同じように、仲よく、りっぱに暮してまいりました。親切な、やさしい御主人にガソリンだの油だのを十分にいただき、行き届いた手入れをしていただき、何の不自由もありませんでした。 しかし、一日中、賑やかな街を駈け歩いてから、ガランとした車庫にはいると、二人は、どうも淋しくってたまりませんでした。二人は、それを自分たちに子供がないからだと思いました。 「男の子が一人あったらなア。」とポピイは言い言いしました。「そうすれば、自分の名前をついでもらうことも出来るのだが……。」 「あたしは、女の子が欲しいわ。どんなに可愛いでしょうね。それに女の子だったら、きっと車庫の中もきれいにお掃除してくれるわ。」ピリイは言うのでした。 しかし、男の子も女の子も、なかなか来てはくれませんでした。二人は、コンクリイトの床を歩きまわる小さなタイヤの音や、夜中に、自分たちのそばで可愛らしいラッパのいびきをかいている小さな自動車のことを考えると、居心地のいい車庫にはいてもちっとも、しあわせだとは思えないのでした。 家庭の匂い
これで、シンドバッドの航海の話は終りました。それから、ヒンドバッドの方へ向いて、 「さて、ヒンドバッドさん。これで、どうして私が、こんな金持になったかが、おわかりになったでしょう。もう、私が、こうして、のんきにくらしているのを、不つごうだとは、お思いにならないでしょうな。」 と、言いました。 すると、ヒンドバッドは、シンドバッドの前へ出て、ていねいにおじぎをして、その手にキッスしました。 「だんなさま、あなたさまは、そんなつらい目におあいになっても、よくがまんをなすったからこそ、こんなお金持におなりになったのでございます。あなたさまのなすった苦労にくらべますと、私の苦労なんか、足もとへもよれないほどでございます。あなたは、きっと、行末ながく、お仕合せにおくらしになるでございましょう。」 と、言いました。 シンドバッドは、この答えを聞いて、大へんよろこびました。そして、ヒンドバッドに、これから毎晩、ごちそうをするから、たべに来るように、と言いました。そしてまた、金貨を百円やりました。 それで、その後、ヒンドバッドは、とうとうシンドバッドのぼうけんの話を、残らずおぼえてしまいましたとさ。 家庭の匂い
それで私は、もうどれいではなくなりました。そして、大へんていねいにしてもらいました。 やがて、象げ船が入って来る時分になって、私は、この島にさようならをしました。そして、象げと、ほかの宝物を船にいっぱいつんで、ふるさとをさして帰って来ました。 バクダッドにつくと、私はすぐその足で、カリフさまの御殿へまいりました。 カリフさまは、私を見て、大へんおよろこびになりました。そして、 「シンドバッドや、わしは、ずいぶん心配していたよ。何かまた、へんなことが起ったのではないかと思ってね。」と、おっしゃいました。 それで私は、海賊の話と、象の話とを、お聞かせしました。 カリフさまは、びっくりなさいました。そして、私の七へんめの航海の話を、すっかり、金の字で書きしるして、カリフさまのお宝物として、だいじにしまっておくようにと、家来にお言いつけになりました。 それから私は、家へ帰って来ました。そして、それからは、ずっと、のどかに、家にくらしています。 家庭の匂い
よく人の家にお邪魔したりすると、いい匂いか悪い匂いかは おいておいて、家の独自の匂いというものがあるかと思います。 子供が習い事にいってる場所の先生の家は、特に家の匂いが 強く、本などを借りてくると匂いがこびりついているので すぐに借りてきたということが分かるほどです。紙とかにも 匂いがついてくるので、すごい威力だなとびっくりします。 家の匂いというのは、どんな所から出てきて分かるようになるのか 不思議です。自分の家も、もしかしたら特有の匂いが付いている んではないかと、心配してしまうほどです。 出来るだけ、いい匂いであってほしいので、あまり鼻に つかないようなフレグランスなどを置いているのですが 自分では、家の匂いがわからないので、信頼のおける 友達に今度聞いてみようかと思いました。 エビログ