Artykuł: が、翌年にな&#
Data dodania: 2013-12-19
が、翌年になって、里人たちが、工事の進み方を測った時、それがまだ絶壁の四分の一にも達していないのを発見すると、里人たちは再び落胆疑惑の声をもらした。 「人を増しても、とても成就はせぬことじゃ。あたら、了海どのに騙かされて要らぬ物入りをした」と、彼らははかどらぬ工事に、いつの間にか倦ききっておった。市九郎は、また独り取り残されねばならなかった。彼は、自分のそばに槌を振る者が、一人減り二人減り、ついには一人もいなくなったのに気がついた。が、彼は決して去る者を追わなかった。黙々として、自分一人その槌を振い続けたのみである。 里人の注意は、まったく市九郎の身辺から離れてしまった。ことに洞窟が、深く穿たれれば穿たれるほど、その奥深く槌を振う市九郎の姿は、行人の目から遠ざかっていった。人々は、闇のうちに閉された洞窟の中を透し見ながら、 「了海さんは、まだやっているのかなあ」と、疑った。が、そうした注意も、しまいにはだんだん薄れてしまって、市九郎の存在は、里人の念頭からしばしば消失せんとした。が、市九郎の存在が、里人に対して没交渉であるがごとく、里人の存在もまた市九郎に没交渉であった。彼にはただ、眼前の大岩壁のみが存在するばかりであった。 掘り出し物の&#